トランペットについて詳しくなろう!

ヤマハHPから引用

今回は金管楽器を代表する楽器トランペットについて紹介していきます。

とみー

それでは早速見ていきましょう!

トランペットとは

トランペットという楽器は金管楽器の中では最も高音域を担当する楽器で、主にメロディーを演奏します。

音色はとても華やかで、音楽の雰囲気を一気に変える力を持つ楽器です。

オーケストラや吹奏楽では後列に配置される事が多く、その存在感でバンド全体の印象を決定付ける楽器と言ってもいいと思います。

トランペットの歴史

トランペットはホルンと共に非常に原始的な金管楽器です。

登場した時代としては古代エジプト時代くらいには存在したとされています。特に古代エジプトを舞台にした歌劇『アイーダ』などでファンファーレ・トランペットが用いられますが、それはトランペットのルーツを表現しているのかも知れません。

もともとは軍隊用の号令を出す役割の楽器で、それが15世紀頃より真鍮で作られるようになり、現代のトランペットの直接的なルーツになっています。

また、金管楽器は楽器の特性上ただの1本の管だけの場合その管の長さに応じた倍音しか出せないため、時代とともに、ロータリーピストンシステムの導入によりバルブ切り替えをして管の長さを変化させる事で音階に対応できる構造に進化していきました。

トランペットの構造

さて、それではトランペットがどういう構造になっているのか見てみましょう。

現代の基本的なトランペットはピストンもしくはロータリーが3つついているものが多く、それぞれのピストンもしくはロータリーが音を『半音』、『全音』、『全半音』下げる管と繋がっており、現代の12音音階すべてに対応できるような仕組みになっています。

管体の素材は真鍮(銅と亜鉛の合金)で作られているものがほとんどで、銅と亜鉛の含有率のバランスによりイエローブラスローズブラスレッドブラスなどがあり、同じ真鍮でも音の柔らかさや剛性の強さに違いがあります。

また、管体の仕上げ方には様々な種類があり、ノーラッカーラッカーメッキなど同じ真鍮で作られていても、仕上げの違いでも音に影響があります。

バルブについて

ピストンの仕組み
ロータリーの仕組み

前述の通り現代のトランペットにはピストンバルブやロータリーバルブがついていて、管の長さを一時的に変えて音階を演奏できるように設計されています。その2種類のバルブとバルブが無い楽器について少し紹介していきます。

ナチュラルトランペット

ジャパンロータリートランペットセンターHPから引用

ナチュラルトランペットバルブのついていない原始的な形のトランペットです。

バルブがついていないため、その管の長さに応じた倍音しか出せません。簡単に言うと音階を吹く事ができなくて、いくつかの特定の音しか出せません

この楽器は軍隊の号令を出すためであったり、ファンファーレのような使われ方が多いです。

ピストントランペット

サクラ楽器HPから引用

ピストントランペット現代でもっとも一般的なトランペットです。

基本的にはバルブケーシングという筒が3つついており、その中に管と管の切り替えを行う穴の空いたピストンが入っていて、ピストンボタンを押すことでピストンを上下させて音を切り替えます。

バルブケーシングは演奏者側から見て1番バルブ2番バルブ3番バルブとも言われ、そこから伸びる管はそれぞれ1番管2番管3番管と呼ばれます。

1番管は音を全音、2番管は半音、3番管は全半音下げる管になっており、その組み合わせで最大で増4度まで音を下げる事ができます。

ピストンバルブはその特徴からハーフバルブでの演奏や好みに合わせ調整(バネのレートを変えるなど)が容易で素早い動き特殊奏法の多様さからポップスなどでも多く使用されています。

ロータリートランペット

ヤマハHPから引用

ロータリートランペットはホルンなどに使われる事の多いロータリーバルブを備えたトランペットで、主にオーケストラの作品で使われる事が多いです。

ロータリーバルブは、管と管の切り替えを回転するロータリーによって行うバルブで、特徴としてはピストンより切り替えが速いので、よりハッキリした演奏が可能です

また、ヨーロッパ諸国ではピストンよりロータリーが主力であったりと、地域的な音楽の特徴も楽器の特徴に現れていると言えます。

どんな音楽に使う楽器なのか

トランペットの楽器についてなんとなくお分かり頂けたところで、どんな音楽シーンで活躍する楽器なのか少し紹介したいと思います。

と思いましたが、トランペットは基本的にすべての音楽シーンに登場する楽器と言ってよいでしょう。オーケストラ吹奏楽はもちろん、ジャズポップスなどどんな音楽にも華を咲かせられる楽器です。

逆に言うとトランペット奏者と一括りにしても、その中にはジャズプレイヤーであったり結婚式専門であったり、野球応援専門なんて方もいてトランペット1つにしてもいろいろな音楽の道が存在します。もし読者の方にこれからプロのトランペット奏者を目指したいという方がいたら、いろいろな選択肢があるということを頭の片隅に入れておくといいかもしれません。

トランペットの有名なメーカー

さて、トランペットについて詳しくなって来たところでトランペットを作っているメーカーをいくつか見ていきましょう!

ヤマハ

ヤマハHPから引用

最初に紹介するのは、みなさまご存知のヤマハです。

ヤマハトランペット2大勢力(私の独断と偏見です)のうちの片割れで、言わずと知れたメイドインジャパンの優れた楽器です。

ヤマハトランペットの主なモデルにはXENOアーティストモデルXENOモデルカスタムモデルがあります。

XENOアーティストモデルにはシカゴシリーズニューヨークシリーズがあり、どちらもアメリカのプロ奏者の監修のもと開発されているヤマハの本気が感じられるモデルです。

他のモデルも品質が高く、国内外問わずヤマハユーザーは非常に多いです。

バック

野中貿易HPから引用

トランペット2大勢力(私の独断と偏見です)のもう片割れがアメリカが世界に誇る金管楽器メーカーのバックです。

バックはヤマハと並んで世界シェアを占拠しているメーカーと言って過言ではないでしょう。大編成のオーケストラからジャズシーンまで幅広いジャンルをこなせるのはもちろん、木管楽器や弦楽器などとのアンサンブルでも繊細な音色で見事にマッチします。

バックの主な製品としてはストラディバリウスシリーズをはじめ、アルティザンコレクションアポロシリーズなどがあります。

どの楽器も歴史を大切にしているバックは、アメリカの金管楽器史の発展そのものと言えます。過去良かったものを現代の技術で再現・改良したモデルを次々と製作している他、他社では作っていない種類の楽器を今もなお作り続けているなど、過去から未来まで世界の音楽シーンに欠かせないメーカーです。

シルキー

シルキー社HPから引用

1956年に創業し、約70年の歴史(2025年時点)をもつシルキー音の遠達性音の艶が優れたトランペットを製造しているメーカーです。

いわゆる工業的な大量生産より、細部にわたる精密な造りを意識して製造されており、特にバルブセクションや、楽器のスライド部の空気漏れを無くし、気密性を高めるなど、そのクオリティーはカスタムメイドと表現されるレベルです。

主な製品は、ソロイストシリーズイノベーションシリーズなどがあり、伝統と最先端の共存を意識したモデル作りをしています。

レヒナー

レヒナー社HPから引用

ロータリートランペットで有名なメーカーレヒナーです。

オーストリアにある工房で1つ1つマイスターの手で丁寧に作られた楽器は、ウィーン独特のサウンドを提供しています。

世界的名門オーケストラのウィーンフィルのメンバー全員をはじめ、オーストリア国内のプロトランペッターはほぼほぼレヒナーのロータリートランペットを使用しているそうです。

お手入れについて

ここまでトランペットを紹介してきましたが、最後はトランペットの手入れ方法について簡単に紹介していきます。

ヤマハHPから引用

基本的には演奏前やオイルが切れてきたと感じたら、ピストンバルブオイルを注してあげます。

バルブオイルを注すと、ピストンの動きが滑らかになるだけで無く、ピストンやバルブケーシングの摩耗を減らし、酸化や硫化から楽器を守ってくれる効果があります。

音程調整用のトリガー付き楽器の場合は、1番管と3番管にはチューニングスライドオイルを注し、スムーズにトリガーが動くようにしましょう。

1ヶ月に1度くらいでもいいので、メインチューニング管スライドグリスを塗り、チューニング管との楽器本体との気密性を上げ、さらに酸化防止の皮膜を作る効果もあるので、酸化からチューニング管を守るようにしましょう。ただし塗り過ぎは響きが損なわれてしまうため厳禁で、程よく塗るようにしましょう。

また、楽器を吹いたあとはクロスで管体を吹き上げる事によって楽器の変色を防ぎ、艶を保つことができます。特に指紋や水滴は劣化の原因になるので楽器を使った後は毎回指紋や水滴を拭き取るように心がけましょう。

管体の中は綺麗に洗ったクリーニングスワブを通して水滴や汚れを取ると良いですが、吹奏感が変化したり好みもあるので、一概に毎日通したほうが良いとは言えません。ただし、たまには通さないと汚いのでたまにはスワブを通してあげましょう。

金管楽器全般に言えるのですが、ほぼ金属のみで構成されているので、楽器まるごと洗うことができます。洗うときはぬるま湯に中性洗剤(食器洗い用洗剤でOK)を溶かして、柔らかいブラシなどで管の中や外を洗うことをおすすめします。

最後に、楽器の仕上げ(ラッカーやメッキなど)に合わせたポリッシュで管体を磨くと被膜が形成されて楽器を汚れから守ってくれてさらに綺麗に保つことができます。

とみー

トランペットって無限の可能性があってカッコいいですね!それではまた次回お会いしましょう!

まとめ

  • 古代エジプト時代からの長い歴史がある
  • 2種類のバルブがある
  • どんな音楽にも必要な楽器
  • お手入れは大事!

投稿者プロフィール

とみー(冨栄秀明)
とみー(冨栄秀明)
トロンボーン奏者・バンドディレクター。元自衛隊音楽隊隊員。
東北を中心に全国各地で楽器のレッスンや審査員などをしています!
豊富な演奏実績と確かな知識でみなさまの音楽ライフをより豊かなものにできるよう情報発信していきます!